普段の生活で衣服に付着する汚れを大きく分けると、水溶性の汚れ・油性の汚れ・固体の汚れの3つです。実際の汚れは、これらにたんぱく質や色素なども組み合わさって複雑に出来ています。
また、付着した汚れは時間が経てば経つほど落とすのが難しくなります。
付いた汚れは少しでも早く落とすことが大事です。
・油………………酸化され、繊維と強く結びつく。
・血液・卵………たんぱく質が変性して水に溶けなくなる。
・埃・砂…………静電気や分子間引力などで布の表面に付き、繊維の隙間に入り込む。
・果汁・醤油……毛細管現象で布に濡れ広がり、繊維の内部に浸透する。
家庭でのお洗濯は水を使う「水洗い」です。
水にはもともと溶解・分散作用があります。そのため、汚れの8割は水洗いで落ちるとも言われています。水は汚れを受け止め、洗い流すために、家庭でのお洗濯にはなくてはならないものなのです。
もう一つ、汚れを落とすためにとても大事なものが機械力です。
洗濯機や手などを使って、摩擦・伸縮・ねじれなどの力を洗濯物の繊維に与えていきます。そうすることで、洗濯物の繊維に入り込んだ汚れをはじき出すことができるのです。
そのため、洗濯機を使うお洗濯では、洗濯物が少なすぎても多すぎても汚れ落ちに効果的ではありません。洗濯物の量は7〜8割が適度と言われています。
また、洗濯機の中で作り出された水流は、繊維にぶつけられることで汚れ落ちを助けます。空のペットボトルに水を半分ほど入れてお洗濯をすると、水流が単調で弱くなりがちな上部に変化を与えられるため、汚れ落ちが良くなるという話もあります。
そして、水には溶けづらい汚れを繊維から引きはがし、水に溶けやすくするために使うものが界面活性剤です。
界面活性剤には様々な作用があるため、あらゆる分野で活用されていますが、日常生活では「ものを洗う」場面で使う印象が大きいと思います。お洗濯の場面でもとても役立つ物質です。
「洗剤」とは、界面活性剤の働きを利用して汚れを取り除くためのものなのです。
実際のお洗濯はこのように、水の力、界面活性剤の働き、そして機械力が加わることで成り立っているのです。