石けんの界面活性剤の構造は?

 


まず基本となる石けんの界面活性剤の構造を見てみましょう。
 

 
石けんは動植物の油脂とアルカリを反応させて作られた「高級脂肪酸のアルカリ塩」です。
反応に使われるアルカリは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム。
「高級脂肪酸のアルカリ塩」というとなんだか大仰な雰囲気ですが、「高級脂肪酸」が何者なのかを知ると、とてもシンプルになります。




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油脂は、このようにグリセリン3つの脂肪酸から出来ています。
 
 
この脂肪酸の中にある「R」がCnHn-で表される炭化水素基(アルキル基)です。この「C」の数が増えてアルキル基が長くなったものを「高級脂肪酸」といいます。
「高級脂肪酸」は、アルキル基(CnHn-)にカルボキシル基(-COOH)がついたカルボン酸のひとつなのです。
 
 
ちなみに、高級脂肪酸・高級アルコールの「高級」とは「高価な・質の良い」といった意味合いではありません。界面活性剤においてはC6以下のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)、C8〜10のものを中鎖脂肪酸、C12以上のものを長鎖脂肪酸(高級脂肪酸)とすることが多いようです。
 
 

 
 
カルボン酸をいくつか見てみましょう。



カルボン酸

 

カルボン酸の中でも、※のついたギ酸・酢酸・プロピオン酸はCの数が少なく、カルボキシル基による親水性が勝るために、洗浄における界面活性剤の親油基としては扱われません。
C4以上になるとアルキル基の親油性の特徴が現れ始めてきます。
この中では、ラウリン酸・ステアリン酸・リノール酸の「R」の部分が界面活性剤の親油基になるわけです。
 
 
 
この高級脂肪酸とアルカリを反応させると「高級脂肪酸のアルカリ塩」である脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム、つまり「石けん」が出来上がります。



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ラウリン酸と水酸化ナトリウムの石けん「ラウリン酸ナトリウム」を模式的に表すとこうなります。ラウリン酸の直鎖アルキル基(CnHn-)が親油基、そこに結合したカルボキシル基(-COOH)が親水基です。
 



ラウリン酸ナトリウム



石けんの界面活性剤は、このようにとてもシンプルな構造になっています。






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