洗濯機で変わるお洗濯事情
近年の洗濯機の事情にもすすぎ不足に陥る理由があります。
縦型洗濯機や二槽式洗濯機は、うずまき水流を作って水流ともみ洗いで汚れを落とす、軟水地域が多い日本式の仕組みです。
対してドラム式洗濯機は、たたき洗いともみ洗いで汚れを落とします。これは、硬水の地域が多いヨーロッパ式の仕組みです。
縦型洗濯機とドラム式洗濯機ではそれぞれに長所・短所があり、実際に洗濯機を選ぶときには、機能・価格・サイズ・デザインなどからお使いになる方に合わせて製品を比較することになるでしょう。
ここでは「界面活性剤を使ったお洗濯」という点から見た洗濯機の特徴について挙げてみます。
節水機能付きの洗濯機が増え、すすぎ時の泡切れをしやすくするために、最近の洗剤は泡が過度に立たないような界面活性剤の配合になっています。
ドラム式洗濯機でのお洗濯では、特に泡立ちが邪魔になります。泡は汚れの吸着に役立ち、摩擦を軽減することで肌や洗濯物には優しくなりますが、それは同時にたたき洗いを得意とするドラム式洗濯機では汚れを落としづらくなってしまうのです。
この「泡」ですが、泡立ちがcmcの洗浄の目安となる石けんと違い、合成界面活性剤では泡立ちは洗浄の目安になりません。
合成界面活性剤は、もともとが泡立ちがしにくいものがあります。また、泡が立っていなくても界面活性作用を示します。
合成界面活性剤はcmcを下回っても界面活性作用を失わないという特徴があるのです。
ですから「泡がなくなった」ことは「すすぎが完全に終わった」こととは別なのです。
「すすぎ1回」は一般的な洗濯の用語として、単に「泡がなくなった」ことを指して使われる言葉に過ぎません。
合成界面活性剤を使ったお洗濯では、すすぎはどれだけ念入りにしてもしすぎることはない…!
そのくらいの意識ですすぐことが大切です。
食器洗いや手洗いの場面でも、合成界面活性剤が残留するのは同じこと。
食器や手には、洗剤成分が残留するということを意識したうえでご使用になることをおすすめします。
また、界面活性剤は水に溶けてイオン化し動き回るわけですから、まずは水が充分にないとその作用も発揮できません。そういう点からは、洗濯物がしっかり水に浸かる縦型洗濯機や二槽式洗濯機が界面活性剤を使ったお洗濯に向いているのです。
洗濯槽の掃除のしやすさ・操作の簡素さ・脱水性能の高さ・撹拌力の高さを考えると、すっきりした洗い上がりのためには二槽式洗濯機に分があるでしょう。特に、脱水用にモーターを独立して設置できる構造上、脱水性能が高くなりますから、汚れや洗剤の除去率も高くなるという長所があります。
全自動洗濯機が主流となった今でも根強い人気があるのも頷けます。
特に泡立ちが大切で、かつ洗濯槽の掃除の頻度が上がる石けんでのお洗濯には、一番適しているタイプといえるかも知れません。
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